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後妻業  黒川博行 著

「後妻業」 黒川博行 著

 

<あらすじ>

91才の耕造は妻に先立たれ、69才の小夜子を後妻に迎えていた。ある日耕造が倒れ、小夜子は結婚相談所の柏木と結託して早々に耕造の預金を引き出す。さらに公正証書遺言を盾に、遺産のほぼすべてを相続すると耕造の娘たちに宣言したー。

高齢の資産家男性を狙う<後妻業>を描き、世間を震撼させた超問題作。

 

<感想>

ようやく文庫本が発売されたので、早速読破。

この小説が出版された同じ時期、京都府向日市の連続不審死事件が明らかになった時期だったため(詳細はココを確認)「後妻業」と言う言葉がセンセーショナルに報道されたキッカケになった小説です。

 

読んでいると後妻業をやってる:小夜子が、頭の中で勝手に向日市の事件の容疑者:筧千佐子の顔に変換されてしまうほどに、あの事件と同じ展開に驚きました。

文章は大阪弁です。そして哀しいけどあまりキレイな大阪弁じゃありません。

ここまでコテコテの関西弁を私たちはあまり話していませんので、誤解なきように・・・。

 

黒川博行氏がこの小説を執筆されたのは、当然向日市の事件など知らない時期(2014年発表)で、当時のインタビューで黒川氏は、「数年前に知人に聴いた話を元に執筆した」と語っておられました。

 

今まで、配偶者に保険金をかけて殺害する「保険金殺害」の事件はいくつもありましたが、「後妻業」のやり口は、保険金じゃない、「公正証書遺言」を使う手口です。

これは、同棲している証拠があれば、妻(入籍していなくても)でなくても、死亡した本人が、司法書士等の立ち会いの元作成した公的書類である以上、効力は絶大だと言うもの。

ほほぉ〜と言う感じ。

と、言うよりなんて男性はアホなんでしょう?

そんなに淋しいもんなんですねぇ・・・。

 

この小説を読むと、きっとまだ向日市の事件を起こした:千佐子容疑者のように、日本のどこかでやってるおばさんがいるような気がします。

世の中、空恐ろしい・・・

 

JUGEMテーマ:オススメの本

author: nagi
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一瞬の雲の切れ間に 砂田麻美 著

一瞬の雲の切れ間に 砂田麻美 著

<本文より>
その時の健二さんの顔は、これで一生彼女と人生をともにすることになるのだという、得体の知れない恐怖と覚悟に満ちていた。私はそんな健二さんの顔を見るのが新鮮で、怖くて、なぜか苦しくなるほど、それを愛おしいと思った。果たして事故を起こしたのが私だったら、この人はそんな顔を見せてくれただろうか?

<感想>
購入したのは3ヶ月ぐらい前か・・・。たぶんネットで良いと言う評価を見て買ったと思う。
作者は、映画監督なのだそうだ(「エンディング・ノート」「夢と狂気の王国」)

5つの短編に分かれた小説は、繋がっている。
千惠子は出版社のOL。とは言え、それほど大きな仕事をしているワケではない。その千惠子と不倫関係にあるのが30代後半、大手出版社の勤務の健二。その健二の妻は美里。インテリアコーディネーターとしてフリーで仕事をしている。その美里が運転中、小3の男の子を車で撥ね、男の子は亡くなる。苦しむ美里と健二。そして不倫相手である千惠子も違う形で苦しむ。
吉乃は、事故で亡くなった男の子の母親。それぞれの視点で描かれたそれぞれの苦しみ。
そして最後の章は、誰だかわからない男の手紙で締めくくられていた。

ん・・・重いと言うのでもないが、心がぎゅっとなった。
読み始めの章「夏、千惠子の物語」は、恋愛もの、しかも不倫ものか・・と思ったのだが、この5章からなる短編は「交通事故」と言うファクターで繋がっていた。
けして故意ではない、不幸な交通事故だ。
私もクルマの運転は日々する。事故を起こさぬよう注意して運転はしているが、時々ひやっとすることもある。
ちょっとした時間のズレ、ちょっとした不注意がもたらした「悲劇」によって翻弄され苦しむものたちの話でした。

日常に潜む、誰もがこの小説に登場する人物になり得そうなところが怖い。
被害者の心の葛藤も、加害者の心の葛藤も、またその当事者たちを見守る家族や友人たちの心の動きまで丁寧に書かれた小説でした。


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author: nagi
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ハピネス 桐野夏生 著

ハピネス  桐野夏生 著

<あらすじ>
高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友との付き合い、海外出張中の夫:俊平からは離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。

<感想>
ベイ・イースト・タワー(BET)とベイ・ウェスト・タワー(BWT)の2棟からなるベイタワーズマンションに賃貸で住む花奈ママこと岩見有紗は、BETに住んでおり、夫は海外赴任中。ママ友は、タワマンの中でも一等地と呼ばれるBWTの47階に住み夫は大手出版社勤務である、いぶママ。美雨ママこと洋子は、他のママ友と異なり、門前仲町のレンガ貼りのマンションに住む地元ッ子。他に、有紗の住むBETよりもランクが上とされるBWTに住む二児のママ:芽玖ママと、真恋ママが織りなす30代のママの話でした。
ふたりの子どもを育ててきた私としては、(十分にあり得る)と思いながら読みました。
最初は、花奈ママこと有紗の生き方にイラついたり、体裁ばかり気にする姿勢にムカついたりしたけれど、この小説がラストで有紗が成長していく姿が見えました。
東京に住んで、ブランドものに囲まれて、キレイでスタイルが良く、夫もエリート・・・どこから見ても幸せそうな家族も何かを抱えているし、見かけ、体裁だけを取り繕っても中身がなければ・・・ね。
自分はバレでいない、隠せていると思っていても、案外他人には、ひとの中身まで見えてたりする。
人として、魅力的なひとになりたいなと思いながら読みました。

子育てで苦しんでいる若いママ。
もしもこのblogを偶然でも読んでくれたら、伝えたい。
そんなの一瞬。ほんの数年。
ママ友のことで苦しむことはない。いなくてもやっていけます!

子育てを越えてきた私からの言葉(^o^)

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author: nagi
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「あの空の下で」 吉田修一 著

「あの空の下で」 吉田修一 著

<あらすじ>
初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近い分、願いが叶う気がして−。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北欧まで、6つの町での出会いを綴ったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌「翼の王国」人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。

<感想>
読み終わって「旅」に出たくなった。今すぐにでも。
12の短編の中で1番好きだったのは「恋する惑星」。
冒頭の文章がとてもステキだ。

真面目に生きてきたか、と問われたら、たぶん不真面目だったかもしれない・・・と答えるしかない。
でも、真剣に生きてきたか、そうじゃなかったか、と問われれば、私は自信を持って「真剣に生きてきた」と答えられるのではないかと思う。

(そうなの!そう!私もそう答える)この文章を読んだ瞬間に共感した。
舞台は香港。32才の私と11才年下の友哉。
奇しくも昨夏、香港を旅行した私は土地勘があるので、文章を読むだけで、あの活気ある香港の街が頭の中に浮かび、まるで自分が香港にいるような気分になった。
主人公の私は、11才も年下の男と付き合う負い目を感じている。わかるんだな、その気持ち。
年下と付き合うと言う感覚を、吉田氏は初めて訪れる異国の街を歩く友哉と、5回も訪れ土地勘がある私の違いで上手く表現している。さすがだ。
それに、『恋する惑星』ってタイトルもイケてる。
1995年の香港映画で、ウォン・カーウァイ監督作品『恋する惑星』に因んだタイトルを小説につけるなんて。

「流されて」も良かった。
マレーシアの孤島で結婚することを丁寧に描いた短編でした。

また、吉田氏の旅エッセイも良くて、バンコクとラオスへも行きたくなりました。

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author: nagi
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怒り 上下巻 吉田修一 著

怒り 上下巻  吉田修一 著

<あらすじ>
上巻より−。
若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、27才と判するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から1年後の夏−。房総の港町で働く槙洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。

下巻より−。
山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気にかけていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。日常をともに過ごす相手に対して芽生える疑い。三人のなかに、山神はいるのか?犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!

<感想>
上下巻3日に完読!
やっぱ、吉田修一氏の小説、いいわ。
読みながら心がザワザワする。グッと苦しくなる。残酷なリアルにつらくなる、彼らの人生の好転を願ってしまう。
先が、先が読みたくて、本を置けない。そして気づくと3日で完読。
読みたいのに、読み終わることを惜しいとさえ思う。私にとって吉田修一の小説はそんな存在。
悪人」の方が私の心にはグッと残った記憶があるが、この小説もそれに匹敵。

この小説は4つの群像劇になっていて、全部が繋がるワケではないが、八王子の事件の犯人、山神一也で繋がりを持つように展開する。
解決しないまま1年経過した八王子事件。それを追う刑事2人(南條と北見)。
千葉の漁協の親子、槙洋平と娘愛子。そこへ現れる男:田代。
福岡から波照間島へ引っ越しした母娘。その娘が偶然出会う田中と名乗るバックパッカーの男。
東京の大企業で働く優馬は、ゲイ。毎日、その瞬間が楽しければ良いと人生を軽く生きている優馬が一夜限りと誘った直人。
ー 田代、田中、直人、3人とも自分のことや過去を語りたがらない、何かを隠してる様子の男たちだ。

こうして考えると、人は何を基準に惹かれあうんだろうと思う。
顔立ちや姿、雰囲気はモチロンだが、その人物の生い立ちや経験も大切なファクターだろう。
好きになる時は、「現在(いま)」だけで十分だと思うのに、時(月、日にち)が経ち、相手を大切だと思うようになればなるほど、相手の過去が気になりだす−。
普通の会話から、相手の過去を普通に聞けたなら、相手の大切な人たち(家族や友だち)に会えたなら不安はなくなって行くのだけれど、相手にひとたび(過去のことは話したくない)(聞かないで欲しい)と言われたら、雰囲気を出されたら、途端に不安に苛まれる。
多かれ少なかれ人間はそんな感情に支配されるが、一方で相反して、(好きだから信じたい)(大切だからこそ現在(いま)一緒にいれればそれでいい)と言う考えも湧いてくる。
そして、自分の感情のコントロールがむずかしくなり不安定になる。
この小説では、そんな気持ちになった時に、逃亡中の指名手配犯の特徴やモンタージュ写真を見てしまう。
頬に並ぶ3つのホクロだったり、左利きだったり・・・。
疑心暗鬼になりだし、不安定になっていく人々の気持ちを丁寧に描いていたと思う。

漁協の父親:洋平が娘:愛子を思う気持ちは切ない。
親は、子どもの幸せを願う。それが1番の優先事項だ。愛子を幸せに導けない父親の慟哭が聞こえるようだった。
小説の形はサスペンス調。
田代か、田中か、はたまた直人か−。犯人:山神一也はこの中の誰かだろうと想像しながら読むことになります。
犯人は、それほど驚く人物では結果ないのだけれど、その犯人:山神一也の心の闇の深さにハンパないほどゾッとしました。
人を「赦す」と言う行為は、本当に深くて重いことだと思うけれど、この小説のキモである「信じる」と言うこともどれだけ重みのあることなのかと、改めて考えさせられた。
信じるべき証拠がない中、ただ、相手を信じてやることのむずかしさは想像以上だ。

結局、信じられないより、騙されても裏切られても信じることのできる強さを持ちたい。
私はそう思うし、これからもそんな風に生きてゆきたいと思う。


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author: nagi
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山女日記 湊かなえ 著

山女日記  湊 かなえ 著

<あらすじ>
私の選択は、間違っていたのですか。
真面目に、正直に、懸命に生きてきたのに・・・・。
誰にも言えない苦い思いを抱いて、女たちは、一歩一歩、頂きを目指す。悩める7人の胸に去来するのはー。
妙高山(新潟)ーこんなはずでなかった結婚
火打山(新潟)ー捨て去れない、華やいだ過去
槍ヶ岳(長野・岐阜)ー父に言ってしまったあの言葉
利尻山(北海道)ーぬぐいきれない姉の劣等感
白馬山(長野・富山)ー夫から切り出された別離
金時山(神奈川・静岡)ー突然見失った将来の目標
トンガリロ(NZ)ーいつの間にか心が離れた恋人

<感想>
湊かなえさん、私的には2冊目。
最初に読んだのが「告白」で本屋大賞、ミステリー大賞等を獲った上、映画化までされた小説だったので、勝手に湊小説のイメージは、サスペンス、ミステリーだと思っていましたが、この短編連作小説はまったく違う小説でした。
主人公たちは皆、等身大の女性。私であり、私の周りにいる誰かです。「告白」で感じられなかった”共感”がこの小説にはたくさんありました。

この本を読んだきっかけは、まさに私が今、「山ガール(笑)」に進化している途中段階だから(笑)
まだ、山にのめり込むまではいかないものの、山に登る前に漠然と感じていた、”山登りってしんどいだけちゃうの?”や、”登りきれるんやろか”と言う不安は少し薄らいできたところ。
そもそも、私の山登りのきっかけは「屋久島で縄文杉を見ること」。なので、この目標を達したら、やめるつもりだった。
しかし、だ。最近、(山登り、続けて行くのかな?)と思うこともあり、自分でもこの先、どうしたいのか、わからない。山を愛する気持ちも薄いし、他に強く登りたい山があるワケじゃない。むしろ、山の知識がなさ過ぎて、どうしたもんか?と言うまさに宙ぶらりんだった。そう、この小説を読むまでは。
読破した今、たぶんこの先も山登りを続けて行くんだろうなと思っている。すごい変化。
山の描写、景色の描写を読みながら、ワクワクしたのだから不思議だ。きっと山登りを経験せずにこの小説を読んでいたら、この感情は生まれなかったと思う。そして今は素直に読んだ山々に登りたいと思っている。
本気で近いうちに「トンガリロ」へ行こうと思う。

「妙高山」
デパートで働いている同期りっちゃんと由美。デパートでのアウトドアフェアがきっかけで、結局ふたりで初登山することになった。妙高山と火打山を続けて登る縦走で、百名山2つを一気に登れる人気のコース。
このまま結婚していいのかと迷っている=りっちゃんと、不倫している=由美の話。
私には、りっちゃんの悩みは幼すぎ、由美の悩みは、部長に良いように使われている都合のいい女になってるよ!って感想。
「火打山」
私と同世代の付き合いはじめたばかりの神崎さんと美津子さんの話。
美津子さんのラストに明かす彼女のほんとうがすごく良かった。
そして、火打山、登りたくなりました。
「槍ヶ岳」
父親が山登りが好きだったことで登山にハマった主人公。大学時代も山岳サークルで登山を楽しんでいたけれど、彼女はずっと単独登山の方が楽だと思っていた。槍ヶ岳を目指すのは今回が3回目。しかし過去2度とも、槍の肩まで登っているのに、頂上に達することができなかった。それは両方同行者のトラブルが原因。3度目の正直で、主人公はひとりで槍ヶ岳の頂上を目指していたのだが、ひょんなことから、おじさんと、おばさんと頂上を目指すことになってしまった。主人公の心の葛藤と、そこから見えた、気づいていなかったことがわかりだす−。主人公の心の変化が良かった。
「利尻山」
妹の気持ちを中心に書いた姉妹の話。
相手が放った言葉を人は、自分の感情や感覚で理解してしまうところがあるんだよなぁと感じた。
利尻山へとても登ってみたくなった。
「白馬岳」
「利尻山」の姉妹の姉目線の話。妹と娘:七花と3人で登る白馬岳。
白馬岳に登ってみたいと言う気持ちになった。登山の途中で、食べるチョコレートの意味、ランチで飲む珈琲の魅力。そして、山でメンバーと食べるランチの魅力が少し理解できたように思う。
「金時山」
「妙高山」で登場したりっちゃんと由美の同僚舞ちゃんの話。小学生の頃から大学までバレー一色だった舞ちゃん。中高とも強豪校で活躍し、大学もバレーに打ち込んだスポーツウーマン。しかし、結局日本一を手にすることなく、ケガで引退することになってしまった。舞ちゃんはそれ以後、打ち込めるものがない。そしてどうしても1番になることを欲してしまう性格になっている。それに気づかせてくれたのは、売れない役者を続けるカレシ。カレが見せてくれた低いハイキングのような山から見る、富士山。
それを見て、彼女が気づいたことが良い。山が自然がそうして教えてくれるのかも。
「トンガリロ」
この話が1番好き。そして、連作短編の魅力を味わえる作品。湊さん、巧い。
NZ北島には旅行したことがある。そしてトンガリロを横目にロトルアで宿泊した。こんな素晴らしい山を私は素通りしたんだと思うとものすごく後悔と共に、もう1度行きたいと強く思った。
他の短編の登場人物が出てくるが、帽子屋のユズキがここで登場。彼女の過去の話はすごく良かったと同時に胸の奥がぎゅっとなった。どれだけ好きでもそのときにそれを上手く伝えられず、理解されないと運命は分かれてしまうんだろうなぁ~と。
トンガリロ・クロッシング」が私の次の大きな目標になった。


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author: nagi
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ホテルローヤル  桜木紫乃 著

ホテルローヤル  桜木紫乃 著

<あらすじ>
北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は ”非日常” を求めてその扉を開く−。
恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。
貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。
アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。
ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。

第149回 直木賞受賞作

<感想>
私の好きな作風でした。
1つのラブホテルを舞台にした7つの短編は、時系列が現在→過去へと遡る手法で、それが非常に魅力的でした。
ひとつのカップルが織りなす話の合間に描かれる細かなホテルの内装や、その当時の噂話が、次の短編を読むと出てきます。(あぁ、さっきの短編の中にあったな)と気づいた時、また小説に引き込まれるのです。憎い演出だと思いました。
そして何よりも女性の心情をわかっている。
「シャッターチャンス」の主人公が、心の底でずっと欲しかった一言をカレから言われる。だけど、それは今日じゃない、今じゃない、こんなことのあとじゃない・・・その気持ち、すごくわかる。
「本日開店」の主人公が初めて感じた「恋」の淡い気持ちが、いとも簡単に消え去る空しさ、哀しさ。
「えっち屋」のアダルト玩具会社の男とラブホテル経営者のやりとり。何がひとの幸せなのか、それはわからないなぁ~と。
「バブルバス」はこの本の中でも唯一の幸せにラブホテルが使われたエピソード。ラブホテルも意味があるよなと思った1編。
「せんせぇ」は、最後まで描かれていなかったけれど、前の4編に出てきた過去の事件の話に繋がるのだろうと匂わせている。
最初にその事件が描かれた時は、教師と女子高生の恋愛の果てか・・・と思った。そう思わせておいて、実はこんなことがあったのだと言うところが、上手いと思う。
「星を見ていた」は、切ない。60歳。真面目に必死に生きてきた主人公。母親がいつも彼女に言ってた言葉「なにがあっても働け。一生懸命に体動かしてる人間には誰もなにも言わねぇもんだ。聞きたくねえことには耳をふさげ・・・」が切なくて虚しい。
「ギフト」過去の短編で語られてきた、あまり良くない噂のホテルローヤルのオーナーとその妻のエピソード。
彼らにもこんな過去があり、そして今があることがわかる。

今で人を判断してしまいがちだけど、人には過去があり、そして今があるのだとこの小説を読んで改めて気づいた。
次回も、桜木紫乃さんの小説を読もうと思う

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author: nagi
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そこへ行くな 井上荒野 著

そこへ行くな    井上荒野 著

<あらすじ>
愛するゆえに、迷いこむ。 行ってはならない場所へー。

一緒に暮らす純一郎さんは、やさしい人だ。出張が多くて不在がちだけれど、一人息子の太郎をよく可愛がっている。じゅうぶんに幸せな親子三人の暮らしに、ある日「川野純一郎の本当のことを教えます」と告げる女からの電話が舞い込みー(「遊園地」)。行ってはならない、見てはならない「真実」に引き寄せられ、平穏な日常から足を踏み外す男女を描いた七つの物語。
第6回中央公論文芸賞じ受賞作。

<感想>
井上荒野さんらしい読んでいて何となく心がざわざわし、結局ほとんどの短編で結論が書かれていない短編集です。
私はこの感覚が好きで、井上荒野氏の小説を読むワケですが、結果を求めたい読者には(えー!?)って読感が残る小説でしょう。
「遊園地」ー 純一郎さんがラストで、祥子の「結婚してほしいの」って言葉をどのようにかわしたのか気になります。
「ガラスの学校」ー 姉妹の関係を軸に姉が突然夫から離婚を切り出され、まったくそれを理解しようとせず、現状を受け入れようとしない様を描いた小説でした。離婚を言われる理由が全くわからない人っているんでしょうね。
「ベルモンドハイツ401」ー 30代半ばの高校の同級生の人間模様を描いたもので、私はあまり好きじゃない作品でした。
「サークル」ー 大学生の話。ある大学のミュージシャン志望の男子学生のサポーターを続けてきた女子3人の中のひとりにスポットをあてた作品でした。
「団地」ー 老人ばかりが住む古い団地に越してきた若夫婦の話でした。1番何が言いたいのかわかりにくいように思いましたが、私が思うに、30代の仕事を持たない(趣味の域で仕事はしているが)子どもがいない夫婦が抱える漠然とした不安を容赦なく突いてくる老人たちの中で、見て見ぬ振りをしてきた現実を直視した祥子の話だったんじゃないかと思います。
「野球場」ー 誰もがブスだと認める女性が、自分に気があるフリをしてきたせいで、関係を持ってしまう男の浅はかさ。紙山幸恵と名乗るナゾの女性が消えた理由がとても気になりましたが、当然描かれてはいません。
「病院」ー 中学生の男子が主人公。重い病を患った母親が、1日毎に死へと近づいている様と中学生が抱える人間関係とを対比させ描いた作品。印象に強く残っています。

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「世界から猫が消えたなら」 川村元気 著

「世界から猫が消えたなら」 川村元気 著

2013年本屋大賞ノミネート小説

<あらすじ>
郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計・・・僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。

<感想>
久しぶりに小説を、しかも一気に読みました。
この小説は映画化されるようです。文庫本の宣伝帯に大々的に告知。そのせいで、主人公のイメージは完全に佐藤健で読んでしまいましたよ〜、イメージつけて読みたくなかったんだけどなぁ・・・。

この小説は、一種の”哲学書”ですね。
主人公「僕」が、青天の霹靂ともいうべき突然余命宣告を受けたことで、人の生死、人と物との関係性、人間が人間であることの意義を考え、体験し、死ぬまでにやりたいことではなく、死ぬまでにするべきことを見つけ、なしていく話です。
小説の主人公には名前がないので(記されていない)、読みながら、頭の片隅で(自分だったら・・・)と思いながら読んでしまってました。
「哲学」には答えはないもの。読む人ぞれぞれが感じることもきっと違うんじゃないかと思います。
やや子どもっぽい小説ではあるけれど、だからこそ10代,20代の若い世代に読んでもらいたい。
当然、当たり前のように明日は来て、それがあさっても、1ヶ月後も続いて・・・若い時は命の期限など考えもしません。故に、命を粗末にしてしまいがち。この本との出会いが”何か"を変えてくれたらいいなと思います。
「金曜日」の章を読んでいたら、そらを抱きしめたくなりました。
温かくてふわふわで、私の大好きなの匂いがする そら 。
そんな優しい気持ちになる本です。

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author: nagi
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「我が家の問題」 奥田英朗 著

「我が家の問題」 奥田英朗 著

<あらすじ>
夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意しー「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしれくれる妻に感動していたはずがー「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。

<感想>
6話からなる短編集。久々に奥田英朗氏の作品を読みました。やっぱ上手いです。
それぞれの家族にはそれぞれの悩みがあるワケで・・それを前向きに描いた優しい短編集でした。
軽く読めてほろっとさせる小説です。

「甘い生活?」
新婚である田中淳一が帰宅恐怖症になるお話。優しさ故に本音を出せずに来た新婚夫婦が夫婦の第一の関門にぶち当たる時を描いていたと思います。まぁ根本考え方が違う夫婦なので、やや先行きが不安な気がしないでもないですけど。
「ハズバンド」
(夫はどうやら仕事ができないらしい)と気づいてしまった妻目線で書かれたお話。実際のところ確認せずに夫を思って美味しいお弁当を作り、毎日持たせる決意をしがんばっているめぐみさんがいじらしく思えました。
「絵里のエイプリル」
(どうやら両親は離婚したがっているらしい)ひょんなことからそのことを知ってしまった高校3年の絵里が、今までは両親へ思いやりを持たずに毎日を当たり前に過ごしていたことに気づき、両親を観察することに。淡々と何もなかったように日常を送る父と母。本当なのか?我が家は壊れちゃうんだろうか?不安に揺れながらも、心の成長を見せる絵里の心情が繊細に描かれた作品でした。この短編だけが子どもの目線から描かれた作品でした。
「夫とUFO」
(夫がUFOを見たと言い出した。しかも最近は交信できるようになったと言う。夫は大丈夫なのだろうか)
このお話の主人公、妻の美奈子の行動がすごくステキ。ストレスから全てを抱え込み、精神症状が出ている夫に詰め寄るのでなく、「これからお父さんを救出してきます」って姿勢がいじらしくてグッと来ました。
本作で1番印象に残り、1番好きでした。
「里帰り」
新婚の夫婦。仕事が充実している東京在住の若夫婦は夏休みは海外で過ごしたいところだが、新婚ゆえに、お互いの実家へ里帰りを選ぶ。最初は儀礼と割り切っていたふたりだが、両方の実家で温かく迎えられて気持ちが変わる感じが温かでした。
「妻とマラソン」
ベストセラー作家の妻は、毎日1時間以上のマラソンを日課にし、その趣味がどんどんエスカレート。夫が気づいた妻の心のバランスの変化。マラソンに打ち込む根底にある理由を知り、家族で東京マラソンに出場する妻(母)を応援するシーンが良かったです。

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引越し、新しく作り直しました。
まだ工事中ですが、見切り発車します
よろしくお願いします


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